IELTSに過去問が存在しない理由
「IELTS 過去問」で検索してこのページにたどり着いた方に、まず結論をお伝えする。IELTSには、TOEICや英検のような「過去問題集」は存在しない。
公式が過去問を公開しない背景
IELTSは世界140カ国以上、年間約400万人が受験する国際的な英語試験だ(出典: IELTS公式)。運営母体であるBritish Council、IDP Education、Cambridge University Pressの3団体は、試験問題を厳密に管理している。
過去問が公開されない理由は主に3つある。
- 試験の公平性を維持するため - 問題が流出すると、それを見た受験者と見ていない受験者で不公平が生じる
- 問題の再利用があるため - IELTSは一部の問題を異なる試験日に再利用することがある。過去問の公開はこの運用を妨げる
- 問題作成コストが高いため - 各問題は言語学の専門家チームが作成・検証しており、安易な公開は投資を無駄にする
TOEICが公式問題集を公開しているのとは対照的だが、IELTSのこの方針は試験の信頼性を守るためのものだ。
過去問の代わりに使える3つの選択肢
過去問がないからといって、本番に近い問題で練習できないわけではない。以下の3種類のリソースが利用可能だ。
種類 | 費用 | 本番との近さ | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
無料練習問題サイト | 無料 | 中〜高 | まず最初に活用 |
公式問題集(Cambridge) | 約3,000〜4,000円 | 非常に高い | 本番前の仕上げに必須 |
IELTS Progress Check | 約7,000円 | 最も高い(公式模試) | 本番直前の実力確認 |
筆者自身、IELTS 6.5を取得する過程で3種類すべてを活用した。結論から言えば、無料サイトで問題形式に慣れる → 公式問題集で実力を測る → 弱点をアプリで補強するのが最も効率的な流れだった。
無料で使えるIELTS練習問題サイト8選
実際に筆者が試した無料サイトを、信頼性と使いやすさの観点から8つ厳選した。
1. IDP IELTS Familiarisationテスト(公式)
URL: ielts.idp.com
IELTSを共同運営するIDP Educationが提供する公式のFamiliarisation(慣れ)テスト。コンピューター版IELTSの画面をそのまま体験できるのが最大の強み。
- 対応技能: リスニング、リーディング、ライティング
- 特徴: 本番と同じUI、時間制限あり
- 注意点: IDPアカウントの登録が必要
コンピューター版で受験予定の人は、操作に慣れる意味でも必ず一度は使っておきたい。
2. ROAD TO IELTS(British Council公式)
URL: roadtoielts.com
British Councilが提供する公式学習プラットフォーム。無料版でも動画レッスン、練習問題、サンプルテストにアクセスできる。
- 対応技能: 4技能すべて
- 特徴: チュートリアル動画付き、段階的に学べる構成
- 注意点: 無料版は一部機能に制限あり。British Councilで受験申込するとフルアクセスが可能
初心者がIELTSの試験形式を理解するのに最も適したサイトだ。
3. British Council Free Practice Tests
URL: takeielts.britishcouncil.org
ROAD TO IELTSとは別に、British Councilが無料で公開している練習問題群。Academic・General Training両方に対応。
- 対応技能: 4技能すべて
- 特徴: PDFダウンロード可能、音声ファイル付き
- 注意点: 問題数は限定的
ペーパー版で受験する人は、このサイトのPDFを印刷して本番と同じ環境で練習できる。
4. JSAF 無料練習問題(PDF)
URL: jsaf-ieltsjapan.com
日本のIELTS試験運営団体であるJSAF(一般財団法人日本スタディ・アブロード・ファンデーション)が提供する日本語サイト。
- 対応技能: 4技能すべて
- 特徴: 日本語の説明付き、PDF形式でダウンロード可能
- 注意点: 問題数は少なめ
英語サイトに抵抗がある初心者には、日本語で説明が読めるこのサイトから始めるのがおすすめだ。
5. IELTS Online Tests
URL: ieltsonlinetests.com
コミュニティ運営の大規模練習問題サイト。問題数が非常に多く、スコア自動算出機能付き。
- 対応技能: リスニング、リーディング(ライティング・スピーキングは参考程度)
- 特徴: 数百問のテスト、自動スコアリング、解答解説付き
- 注意点: 非公式サイトのため、問題の質にばらつきあり
量をこなしたい人には最適だが、公式問題集と比べると難易度や形式にズレがある場合がある点は認識しておく必要がある。
6. Mini-ielts.com
URL: mini-ielts.com
Academic特化の練習問題サイト。リーディングとリスニングの問題が豊富。
- 対応技能: リスニング、リーディング
- 特徴: テスト形式の練習、正答率表示
- 注意点: 英語のみ、非公式
特にリーディングの問題数が多く、True/False/Not Given形式の練習に適している。
7. IELTS Test Pro
URL: ウェブ版およびアプリ版あり
モバイルでも練習できるプラットフォーム。通勤時間などのスキマ時間に活用しやすい。
- 対応技能: リスニング、リーディング
- 特徴: アプリ版あり、オフライン対応
- 注意点: 無料版は広告あり
8. IELTS Progress Check(有料・公式模試)
URL: ielts.org(要アカウント登録)
唯一の公式オンライン模試。IELTSの採点者が実際に採点するため、本番に最も近いスコアが得られる。
- 対応技能: 4技能すべて
- 特徴: 公式採点者によるスコアリング、5営業日以内に結果通知
- 費用: 約49.95 USD(約7,500円)
- 注意点: 有料のため、本番直前の実力確認に限定して使うのが効率的
費用はかかるが、本番1〜2週間前に一度受けておくと、弱点が明確になり最後の追い込みに集中できる。
【比較表】無料サイト8選を技能別・目的別に整理
どのサイトをどの目的で使うべきか、一目でわかる比較表を作成した。
サイト名 | 運営 | L | R | W | S | 自動採点 | 日本語対応 | おすすめ用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
IDP Familiarisation | 公式 | ○ | ○ | ○ | - | - | - | コンピューター版の操作練習 |
ROAD TO IELTS | 公式 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | 初心者の試験形式理解 |
British Council Tests | 公式 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | ペーパー版の本番練習 |
JSAF練習問題 | 公式 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ○ | 日本語で問題形式を理解 |
IELTS Online Tests | 非公式 | ○ | ○ | △ | △ | ○ | - | 大量の問題を解きたい人 |
Mini-ielts.com | 非公式 | ○ | ○ | - | - | ○ | - | リーディング集中練習 |
IELTS Test Pro | 非公式 | ○ | ○ | - | - | ○ | - | スキマ時間のモバイル学習 |
Progress Check | 公式 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | 本番直前の実力測定 |
L=リスニング、R=リーディング、W=ライティング、S=スピーキング
リスニング対策におすすめのサイト
リスニングは最も練習問題が充実している技能だ。おすすめの優先順位は以下の通り。
- British Council Free Practice Tests - 公式音声で耳を慣らす
- IELTS Online Tests - 大量の問題で場数を踏む
- IDP Familiarisation - コンピューター版の操作に慣れる
リスニングで聞き取れなかった単語は、その場でメモしてアプリに登録するのが最も効率的な復習法だ。WordSprintなら、自分だけの「IELTS頻出単語リスト」を作成して忘却曲線に基づいた復習ができる。
リーディング対策におすすめのサイト
リーディングは問題形式への慣れが直接スコアに影響する。
- Mini-ielts.com - True/False/Not Given形式に特化
- IELTS Online Tests - 多様な問題形式をカバー
- Cambridge公式問題集 - 本番レベルの難易度で仕上げ
リーディングでは、未知の単語に出会ったとき「推測する力」と「語彙力」の両方が必要になる。練習問題で出会った頻出単語を体系的に覚えることで、読解スピードが上がる。
ライティング・スピーキング対策
ライティングとスピーキングは、無料サイトだけでは対策が難しい技能だ。
- ライティング: ROAD TO IELTSのサンプル回答を研究 → 自分で書く → 添削サービスで改善
- スピーキング: British Councilのサンプル問題で練習 → 録音して自己分析 → オンライン英会話で実践
この2技能については、別記事で詳しく対策法を解説している。
関連記事: - IELTSライティング頻出単語100選 - IELTSスピーキング対策完全ガイド
IELTS公式問題集おすすめ3選
無料サイトで問題形式に慣れたら、次は公式問題集で本番レベルの演習に進む。
Cambridge IELTS 19(最新版)
IELTSの問題を作成しているCambridge University Pressが出版する唯一の公式問題集シリーズ。
- 収録内容: 模擬テスト4回分(Academic版・General Training版で別売)
- 価格: 約3,500〜4,000円
- 特徴: 本番と同じ品質の問題、解答・解説・音声付き
シリーズは番号が大きいほど新しい。最新のIELTS 19から始めて、余裕があれば18、17と遡るのが効果的だ。
筆者はIELTS 17〜19の3冊(計12回分の模擬テスト)を使って対策した。感覚としては、3冊あれば十分な演習量だ。
British Council公認問題集
British Councilが監修した日本向けの問題集。日本語の解説がついているため、独学者に使いやすい。
- 収録内容: 模擬テスト+学習アドバイス
- 価格: 約2,500〜3,000円
- 特徴: 日本語解説あり
IDP公認問題集
IDP Educationが監修した問題集。Cambridge公式問題集を解き終わった後の追加演習に適している。
- 収録内容: 本番形式問題3回分
- 価格: 約2,500円
- 特徴: 比較的新しい問題
問題集の選び方まとめ
予算 | おすすめの組み合わせ |
|---|---|
最小限(〜4,000円) | Cambridge IELTS 19のみ |
標準(〜8,000円) | Cambridge IELTS 19 + 18 |
しっかり対策(〜12,000円) | Cambridge 19 + 18 + 17 |
完璧に(15,000円〜) | 上記 + IDP公認問題集 |
過去問・練習問題を最大限活用する学習法
ここまで「何を使うか」を説明してきたが、重要なのは「どう使うか」だ。
439人の学習データからわかった効果的な順序
WordSprintの学習データ439人分を分析すると、IELTS対策で成果を出している人には共通するパターンがあった。
効果が出ている人の学習順序:
Step 1: 基礎語彙の習得(1〜4週目)
└ 頻出単語3,000語レベルをアプリで定着
Step 2: 問題形式の理解(2〜4週目)
└ 無料サイトで各技能の問題形式を体験
Step 3: 実践演習(5〜8週目)
└ 公式問題集を時間を計って解く
Step 4: 弱点補強(9〜12週目)
└ 間違えた問題の復習 + 未知語彙の集中学習
Step 5: 本番直前(試験1〜2週前)
└ Progress Checkまたは新しい問題集で実力確認
注目すべきは、Step 1の語彙習得とStep 2の問題演習を並行して進めている点だ。「単語を完璧にしてから問題を解く」のではなく、問題を解きながら語彙力を伸ばすのが効率的だとデータが示している。
忘却曲線を活用した過去問復習スケジュール
公式問題集を1回解いて終わりにしていないだろうか。エビングハウスの忘却曲線の研究によれば、人間は学んだことの約66%を24時間以内に忘れる。
練習問題も同じで、一度解いただけでは問題パターンや解法は定着しない。以下のスケジュールで復習すると効果的だ。
タイミング | やること |
|---|---|
当日 | 問題を解く → 答え合わせ → 間違えた問題の原因分析 |
翌日 | 間違えた問題だけ解き直す |
3日後 | 間違えた問題のリスニング音源を再聴取 / パッセージ再読 |
1週間後 | 同じテストを時間を計って再チャレンジ |
1ヶ月後 | 別のテストで同じ形式の問題を解く |
このスケジュールは、筆者がIELTS 6.5を取得した際に実際に実践した方法だ。特にリスニングは、同じ音源を3回聴くだけでスコアが0.5〜1.0上がったセクションもあった。
過去問で出会った単語を効率的に覚える方法
練習問題を解いていると、必ず「知らない単語」に出会う。この単語をどう処理するかで、語彙力の伸びに大きな差が出る。
非効率な方法: - ノートに書き写すだけ → 見返さないまま忘れる - すべての未知語を調べる → 時間がかかりすぎて挫折
効率的な方法: 1. 練習問題を解く際、設問に直接関係する未知語だけにマーカーを引く 2. 答え合わせ後、マーカーを引いた単語を単語アプリに登録 3. アプリの忘却曲線アルゴリズムに任せて復習
この方法のポイントは、「全部覚えようとしない」ことだ。IELTSで本当に必要な語彙は、設問で問われる単語とパラフレーズ(言い換え表現)だ。
WordSprintでは、自分だけの単語リストを作成し、忘却曲線に基づいたタイミングで自動的に復習問題が出題される。練習問題で出会った単語を登録しておけば、「覚えたつもりで忘れていた」を防げる。
よくある質問(FAQ)
Q. IELTSの過去問はどこでダウンロードできる?
IELTSの過去問は公式に公開されていないため、ダウンロードできるサイトは存在しない。ただし、公式の練習問題はJSAFやBritish Councilのサイトから無料でPDFダウンロードが可能だ。非公式サイトで「過去問」と称して配布されているものは、著作権上の問題がある可能性があるため注意が必要だ。
Q. Cambridge公式問題集は過去問と同じ?
Cambridge公式問題集に収録されている問題は、過去の試験で実際に使われた問題を再編集したものとされている。そのため、難易度や形式は本番に非常に近い。厳密には「過去問そのもの」ではないが、最も本番に近い問題集と言える。
Q. 無料サイトだけでIELTS対策は十分?
問題形式への慣れという観点では、無料サイトだけでも十分な対策ができる。ただし、正確なスコア予測やライティング・スピーキングの評価が必要な場合は、公式問題集やProgress Checkの活用が望ましい。
Q. 何回分の模試を解くべき?
最低でも3回分は解いておきたい。1回目で形式を理解し、2回目で時間配分を調整し、3回目で本番のシミュレーションを行う。余裕があれば6〜8回分解くと、問題パターンの網羅度が上がる。
Q. コンピューター版とペーパー版で練習問題は違う?
問題の内容自体は同じだ。ただし、コンピューター版はハイライトやコピー&ペーストが使えるなど、操作面で異なる。コンピューター版で受験する場合は、IDP Familiarisationテストで必ず操作練習をしておくことを強く推奨する。
Q. 練習問題と本番のギャップはどのくらい?
公式サイト(British Council、IDP、JSAF)の練習問題は本番との差が小さい。一方、非公式サイトの問題は難易度にばらつきがある。非公式サイトのスコアを鵜呑みにしないのが重要だ。本番前の正確なスコア予測にはProgress Checkか公式問題集を使うべきだ。
まとめ
IELTSには過去問がないが、無料で使える練習問題サイトは多数ある。
初心者は以下の3ステップで始めよう:
- JSAF練習問題で問題形式を日本語で理解する
- ROAD TO IELTSで4技能の練習を一通り体験する
- Cambridge公式問題集で本番レベルの演習に進む
練習問題を解く際は、「解いて終わり」にせず、間違えた問題の復習と未知語彙の登録を必ず行うこと。この2つの習慣が、スコアアップへの最短ルートだ。
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